東大川の家
House in Higashiokawa
東西2つの道路に接する敷地に建つ住宅である。西側は道路を挟んで公園に面し、大きな広がりが感じられると同時にその時々によって色々な人達が入れ替わり利用するため賑やかな雰囲気がある。また、春には公園に植えられた桜やハナミズキの花がその空気感を助長する。一方で、東側は住宅が立ち並ぶ静かで落ち着いた環境となっている。
建築主からはそうした環境を意識しながら快適に生活できる住宅が望まれたため、2つの異なる街の性格を引き込み、つなぎ合わせる半公共的な空間を中心とした住宅を考えた。
具体的には敷地の南側に西から順に深い庇を持った前庭、縦格子の木製建具越しに程よく通りや公園の様子が伺える見世庭のような玄関、樹木が植えられた中庭を設け、それらを介して東側の道路へ通り抜けることが出来る空間に生活スペースを組み合わせる形式を提案した。
この通り庭のような場所は透ける建具によって適度に開かれ、高さを抑えた平屋建てのため、周辺環境を感じながら過ごすことが出来、道路や公園からも庭の気配が伺えるので閉鎖感を感じることがない。
また、敷地の南側に東西に抜ける場所を設けることで南面に建つ少し背の高い建物による採光や通風への懸念にも対応した。
公園のある西側に面する居室は西日や公園・道路からの視線へ配慮し、2階の主寝室前に深い奥行きを持ったルーバー床のテラスを設け、外壁面から開口部をセットバックしさせ懐の深い場所としている。1階の主室はその跳ね出したテラスや目隠し壁により適度に守られながら、ルーバー床から柔らかな光を感じることが出来る。子供室には中庭に少し飛び出したデスクコーナーがあり、東西の通りや公園、そして中庭への視線を確保している。
これらのことにより2面接道という利点を活かし、快適な住空間を確保するだけではなく、2つの通りを繋げる場としての役割を持つ住宅となった。