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三芦の家

House in Miashi

差をとることで場をつくる

今後の展望を見通すことが出来ない計画道路用地と国道に挟まれ、その周囲には住宅街が広がる敷地に建つ動物病院併用住宅です。
小さな必要諸室を連結させた動物病院部分の平面構成や人工照明による均質で安定した環境と対比させたおおらかで光の変化を微細に感じられる住空間、動物病院として際立たせ生活感を消した外観、院内から生じる動物の鳴き声と車の往来による騒音への配慮が求められました。
そのため、この住宅においては建築を構成する床、壁、天井に現れる明度の差を意識的にとることから空間を構成し、その各面に現れる抽象化された自然光を享受することを考えました。
また、病院として正面性を与えるために設けた開口部以外はほぼ同形状とし、必要最低限の窓を不規則に配置することで住宅としての匿名性を確保し、内外部から生じる音に対する問題にも配慮しています。
床、壁に生まれる繊細な差を感じとることが出来るよう同時に多数の面を見渡せるワンルームに近い伸びやかなプランニングとする一方で、床面から2,050mmの高さまで下げた垂壁が天井面を格子状に分割し、視線を適度に遮ることで単純な空間構成に奥行きとリズムを寄与しています。
区分された天井面は開口部の大きさや距離感などの関係性によりはっきりとした明度差を持ち、縁取り輪郭を付与する垂壁や構造体を剥き出した荒い仕上げによりその存在が強調され、生活の変化に伴い据えられていく物によって前述した知覚が弱まることが想像される床面、壁面が担う役割を補い空間の骨格となります。
建築を象るそうした恒常的な要素が今後移り変わっていく外部環境、家族構成、ライフスタイルなどに対して、住まい手の拠り所となり続ける住宅を目指しました。

設計監理 花本大作建築設計事務所
構造設計 金子武史構造設計事務所
施工 株式会社平田組
撮影 益永研司写真事務所
設計期間 2018年1月~2018年6月
工事期間 2018年7月~2019年2月
用途 動物病院付住宅
構造 木造
規模 地上2階
敷地面積 257.75㎡
建築面積 107.59㎡
延床面積 193.26㎡
【受 賞】
  • ◎令和元年度 呉市美しい街づくり賞 奨励賞
【メディア】

国内
architecturephoto
海外
archdaily / archtizer

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